夏の終わりに
まるでページをめくるように
季節が変わってゆく
暑かった記憶なんて
忘れてしまうんだろうなぁ
撮ろう
いっぱい撮ろう
忘れたくないんだ
君との思い出 。
好きだよ
明日もきっと
キミのことで頭がいっぱいだ
遠征。
来てくれてありがとう
彼女はそう言いながら小さな窓のある小さな部屋に入ってわたしの方に顔を向けた
丸い顔が眩しくはじけた
素敵な笑顔だった
東京まで夜通しバスに揺られ、早朝、以前から行きたかった帝釈天に行った
オフ会の時間にはまだ早すぎるからちょうどよかった
まだ参道に軒を連ねたお土産屋さんは閉まっている時間で、人影もまばらだった
観光客の団体さんはもちろん見かけなかった
映画で見るのと実際に見るのとではやはり違った
それでも、やっとここに来れたことが嬉しかった
自分の足でその場所に立つことになにか意味があるに違いない
旅とはどこかそんなキッパリした理由が必要だ
写真を撮った
境内にお参りしたし賽銭もいれた
立派な振る舞いだった
踊ってみた
平たくいえばダンスパフォーマンスのことで、主なのはボカロに合わせた振り付けを演者が考えて動画配信サービスで披露している
かつては踊ってみたというカテゴリーもあった
わたしが彼女を知ったのは数年前のイベントだった
踊ってみたのパフォーマーばかりを集めたライブイベントが大阪であった
その時に何度か見かけていた
このイベントはユニットより個人参加が多く、演目によってはコラボしたりして、普段の動画配信では見られない楽しさもある
踊ってみたライブの特筆する所かもしれない
来てくれてありがとう
少しはにかんだような彼女の笑顔がどこかとても懐かしくていつまでも忘れられなかった
素顔
あの子の笑顔が見たい
ただそれだけでボクは駅へ向かった
1時間かけてあの子に逢いに行くんだ
コーヒー1杯でいい
話しかけるには勇気がいる
そんな美しい人だった
作り笑顔のできない人だった
今なら
もう少しうまく
振る舞えたかもしれない
ボクはしくじった
楽しかったはずなのに
オセロみたいに
全部見事にひっくり返った
そう
オセロみたいに
みんなぶっ飛んだ
なかなか
頑固なオレだ
ぞうさん
今日は一体なんだったんだろう
全然集中出来なかった
事故を起こさなかったのが幸いというか危ない場面が何度もあった
大津ではまた悲しい事故もあった
わたしは思わず今日の月齢を調べた
数年前の列車事故を思い出したからだ
あの日は満月だった
月の人に与える影響は計り知れないと思っているのだが今日は満月ではなかった
こういう日はなにか気分転換が必要だ
仕事終わりに映画を見に行った
アニメ映画だ
うかつにも寝てしまった
退屈な映画だった
ラストシーンの何気ない日常に少し気分が安らいだ
ただそれだけのために1500円払った
コーラとポテトをいれるとまぁまぁの出費だった
映画の帰りに車庫に寄ったらまだ日報は回収されていなかった
わたしは足ふきマットをはたいて、濡れた雑巾でアクセル周りを拭いた
ブレーキもクラッチペダルも拭いた
毎日の日課だ
映画の時間が迫っていたので明日の朝でも構わないとも思って出かけたのだった
会社の携帯電話を見つけたのはハンドルロックをかけ忘れていたのに気づいて運転台に身を乗り出した時だった
着信を知らせるライトが点滅していた
明日の予定だろう
いつもそうだ
ほんとに今日はどうかしている
と、そのときスマホに通知がはいった
600キロ先からのラブコールだった
優しい言葉をかけられたら2リットルは泣けそうだった。
ライブが近い
4.21はニコフェス
久しぶりの名古屋
ほぼ一年ぶり
前回はホココス
だから
踊ってみたとしては
1年以上ぶり
きょおちゃんに会えるのは
12月以来だ
新しいブロマイドも楽しみだ
チェキ
手の中に収まるちっちゃな写真
写りのいい写真ならスマホでいくらでも撮れる
けどボクはチェキのあの画質が好きだ
いや違うな
あのフィルムは
世界に一枚しかない
いや違うな
複製できるらしい
インスタント写真は昔はもっと大きかった
ポラロイド写真って言ってた
余白にメモ出来て
しかもすぐに見ることができる写真
インスタントコーヒーみたいに手間がいらない
豆を挽いたりなんやかやしなくていい
インスタント写真とはよく言ったものだな
枠の白い部分を指で温めたら
早く絵が浮かんでくるらしい
ほんとかなぁ?
何度かやってみたけどよくワカらねぇや
マジックでボクの名前
いろんな色で今日の日付けとキミのサイン
好きなイラストや
イベント名も書いてくれたりして
そして
最後に握手してサヨナラ
ボクはまだ
乾ききっていないインクに
細心のの注意と敬意をはらう
世界に一枚だけの
ボクとキミの思い出
ありがとうの一言がかすれちゃってて
消えそうだなぁ
こんな字を書くんだね
やっぱりボクは
チェキが好きだなぁ